さきこさんがロンドンに帰られた。人が海のある田舎町を訪ねてきてくれるのはとても嬉しい。FIlmhuis Den Haagでアンジェイ・ズラウスキー監督『Possession』を鑑賞。以前観た時は、聖子ちゃんと険悪なムードの中一緒に観たので、映画のもつ恐怖よりも、この映画を一緒に観ることを選んだ聖子ちゃんへの怒りのようなものを纏いながら鑑賞したのを思い出した。どれだけ作品に集中しようとも必ず作品と鑑賞者個人の間には取り除くことのできない距離があり、鑑賞者個人の中にはごく自然に個人の感覚と感情、意思があり、個人は自由に作品を観る権利がある。それは、戦時中に相手を撃たなかった軍人がいたり、アウシュビッツで収容されていた人間に思考の自由があったように、どんな劣悪な状況でも平等に人間の中に宿っているのである。ぼくは、その力を信じたいし、その力は閉鎖的で貧相に萎む社会の中においても、ぼくやあなた自身がその力を信じる限り決して失われることはない。