朝、聖子ちゃんが昨日から仕込んでいたガレット・デ・ロワを焼いている。リビングルームからちゃっぴと聖子ちゃんが話している声を耳にしぼくは目覚めた。久しぶりに幼少期に戻ったかのような包まれるような気持ちになっているとステラがベッドに飛び込んできた。最近、呼ばれたらベッドルームに入って良いということを知ったようで、自分もベッドに身体を沈ませることで、子供が大人の真似をしている時のような満足気な表情を見せている。起き抜けにパジャマのままphotoshopで王冠の平面データを作り印刷し、紙の白い王冠を作る。コーヒーを淹れ、ちゃっぴがテーブルの下に潜り、ケーキの行き先を決めた。ぼくが1番、2番目が聖子ちゃん、3番目がステラ、4番目がちゃっぴ。フェーブは聖子ちゃんに当たる。ここにこうやって書くと時間の流れを手に取るように豊かさを感じるような、ある人の旅立ちの前とは思えないような出来事ではあるが、実のところある人の旅立ちの日の忙しい朝だからこそできたような出来事だった。きっと、ちゃっぴがいなくても、ガレット・デ・ロワを作っていただろう。しかし、photoshopで王冠の平面データを作りプリントしていただろうか、テーブルの下に潜っていただろうか、朝からここまできっちりと作っていなかったかもしれない。そう考えると、虚勢ではないが、見栄っ張りな聖子ちゃんとぼくにとっては、人との時間を共有するというのは、行動の質の担保であると思った。ちゃっぴをDen Haag Central駅まで見送る。荷物くらい持つべきだっただろうか。ふらっとついていき、アムステルダム行きのバス停へ。この土地の空港や駅などで頻繁に見られるお見送りの光景のようにハグをするでもなく、またの再会を具体的に願うこともなく、また会えるんだろうということをなんとなくお互いに理解し、「ほんまありがとう、じゃあ」とちゃっぴは言い、ぼくは「気をつけて、ありがとう」とだけ。大学生の頃を思い出すような時間が終わりを迎えた。
今日からみんな仕事復帰しているのか、どんどんと連絡が始まり、久しぶりにパソコンのメールなど事務作業で忙しい時間を過ごす。Loreから電話があり新年の挨拶を交わし、今年の展望を聞いた。
今日からみんな仕事復帰しているのか、どんどんと連絡が始まり、久しぶりにパソコンのメールなど事務作業で忙しい時間を過ごす。Loreから電話があり新年の挨拶を交わし、今年の展望を聞いた。