願掛けか、ゲン担ぎか、はたまた厄払いか、正月からちゃっぴと極寒の海に飛び込む。気の知れた友人がいると「どっちでもいいこと」や「躊躇すること」を行動にうつす後押しになるし、背中を押されるような気がする。そういうポジティブなエネルギーを与えてくれる関係を持った友人がいることは人生に色を与えてくれる。
寒い寒いと言いながらも、正月らしい穏やかな心持ちでビーチから歩いて家に帰り、鯛の塩釜焼き、ロブスターを料理する。そのままぐだぐだと話して、日が暮れてずいぶん時間が経ってから濱口竜介監督『悪は存在しない』を3人で鑑賞。そのまま1日が終わるなんとも正月らしい時間の過ごし方であった。明日は6時半おきだというのにみんなが寝静まった後に、メールをしたり、年始からしないといけないと今日の心残りになっていたことを済ませていると、結局ベッドに潜り込んだのが27時だった。彼女や来客が寝静まってもぼくは自分の時間で自分のやるべきことを遂行することが大切。バスで寝ればいいと思っていた。
寒い寒いと言いながらも、正月らしい穏やかな心持ちでビーチから歩いて家に帰り、鯛の塩釜焼き、ロブスターを料理する。そのままぐだぐだと話して、日が暮れてずいぶん時間が経ってから濱口竜介監督『悪は存在しない』を3人で鑑賞。そのまま1日が終わるなんとも正月らしい時間の過ごし方であった。明日は6時半おきだというのにみんなが寝静まった後に、メールをしたり、年始からしないといけないと今日の心残りになっていたことを済ませていると、結局ベッドに潜り込んだのが27時だった。彼女や来客が寝静まってもぼくは自分の時間で自分のやるべきことを遂行することが大切。バスで寝ればいいと思っていた。
今年も、恒例ここに2025年一年の総括をしたい。
新年からフレッシュな気持ちで制作に集中できた。今考えると、この時期の集中が、1年の向かうべき方向と形を作り大きく響いたのではないかと思う。2月はパリとアムステルダムで、3月初めにはロンドンでブックローンチをした。毎回こうやって新しい土地で、新しい出会いがあることは出版社冥利に尽きる。3月に36歳になった。人生の半分を越えたような気がした。誕生日を迎える前にA song from the laundry room #6の刊行。ランニングの継続。4月A song from the laundry room #7の刊行。5月、ボローニャへ再訪。6月、短編集「街の眺め」が完成。小学生の頃の夢は「考古学者」、昔から言葉で何かを伝えたいと思っていた昔からの憧れを小さいながらにも一つ完成させられたことはぼくのこれから始まる後半の人生においては素晴らしい瞬間であった。また、作りためてきたものをやっと形にできて、自分の10年くらい長らく躊躇していた最初のステップが踏み出せたような感覚は、一歩を踏み出すことは大変だが、踏み出して仕舞えばなんてことはないと思えることを再確認させてくれた。傲慢にならず、いつまでも自分で自分の作ったものをまず目の前の人に届けるというスタンスは変えてはいけない。ぼくは自らの制作物を目の前にいる人に見せ喜んでもらう、そして見せたい人に見せる、そしてきっとまた気に入ってくれた人が彼らの偏愛を持って彼らの見せたい人に紹介してくれるだろう。日々、やっていることをきちんと完成させる、納得いく形でまとめること、やり切ること、これまでやりっぱなしになることが多かった自分の人生において、少しずつではあるが、終わりを見据えて何かを始めるということがオランダの個人主義国家での生活の中で染みつき始めている。初夏、Cairo Apartmentの新刊を刊行。前回の学びから輸送がうまく行った。やはり本が刊行されると、移動が増え、2023年にオランダに来るにあたり描いていた生活の設計図を少しずつではあるが、目に見える形にできている。水を流すために少し穴を掘り石を敷き、そこが安定して水が流れるための水路となろうとしている。9月、続けてCairo Apartmentの新刊を刊行し、バルセロナでブックローンチ。昨年からバルセロナにはたびたび訪れる機会があり、自分たちにとってヨーロッパでの第二の拠点のような感覚がある。自分が企画したことに共感をしてもらい、相手に怯まずに巻き込んでいくだけの度胸がついてきた気がした。しかし、それでもパン屋だから人々の喜びに答えるためにクロワッサンとバゲットとカンパーニュを焼いているのではなく、暖かな太陽の光さえも感じるほどの香ばしさを持ったカンパーニュが焼けるからカンパーニュだけを売るパン屋をやっている、ぼくはまだ後者でありたいと思った。自分の納得できる質を高く保ち、主体性と、ユーモアを持った姿で根源的に人生に必要なものを届けたいということだ。晩秋、ぼくの新刊「Six songs of the invisible matter 」をCairo Apartmentから刊行、フレッソンプリントのシリーズ。それに合わせた展覧会の開催をフランスで開催。10月A song from the laundry room #8を刊行。年越しを久しぶりに日本で過ごして、展覧会は日本への巡回もできた。結局、フィルムはパーソナルワークで50本使った。この数年、すっきりしない、なんとなく暖簾に腕押ししているような、一人だけが張り切っていて温度差があるような感覚が続いていたが、きちんと歯車が噛み合ってきたような感覚があった。今年も作品も本もたくさん売れた、やっとと言っていいだろうが写真のコマーシャルワークも定期的にいただけるようになった。こちらも自分の活動のエッセンスとなるような気がし、心の変化も感じる。自分の姿勢を持って制作を続けることとそれがきちんと届けられることが、作品を買ってくれたり、応援してくれたり、支えてくれる人々への何にも変えられないお礼であったと思えた一年だった。