クリスマス。街から人がいなくなった。朝、ステラと散歩をしていると、昨晩すでにたくさん食べたのだろうということがわかるほどにランナーが多い。みんな食べた分だけ走ろうという魂胆だろう、ことが目に見えるほどにぼくの目には彼らは走り慣れていない様に見えた。今朝のランナーは、特に女性が多かった。オランダの女性は意志が強く、自分を律するのが得意だと見ていて思う。
食べて、映画を見続ける一日。結局3本、ジェイソン・シュワルツマン主演、アレックス・ロス・ペリー監督『Listen Up Philip』、ジョエル・コーエン監督『Blood Simple』、ジャック・ニコルソン主演、マイク・ニコルズ監督『CARNAL KNOWLEDGE』。『Listen Up Philip』のジェイソン・シュワルツマンを見ていると、作家ならではの傲慢さと誰とも分かり合えない無意味な自尊心、日常と地続きにある孤独感らが渦を巻いたような鬱々とした感じが自分自身を見ているような気もした。ぼくは、マンブルコアが結局好きなんだろうなと思った。なんでプロジェクターを買うのを渋っているのだろうか。今日は、プロジェクターで映画を鑑賞のには最高の日だった。
ぼくのクリスマス料理のテーマは、日本の正月におけるおせち料理の位置付けと同じで、今日から数日間は食べたい時にハムをスライスし、マッシュポテトや豆をたべ、チーズをたべ、パンを食べる。なんとなく違うものが食べたくなったら、ハムとチーズのサンドウィッチを作る。それにも飽きたら、ハムでパスタを作るだろう。2016年にHarryとCarterに誘われて彼女たちの実家でクリスマスを過ごして以来、ハムが時間の変化とともにどんどんとトランスフォームするようなクリスマスホリデーの数日間に憧れている。もちろん、ホリデケーキも、チョコレートも、クッキーもある。数日間ぐうたらと過ごすための料理。ハムのトランスフォームにも憧れを抱きつつも、おせち料理のように意味のあるものがぼくは好きだ。奇妙な食べ物だと思う。ぼくはそういう類の奇妙さが好きだ。