2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2024.5.1

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2024.5.1

聖子ちゃんの誕生日なので、朝pompernikkelでフルブレックファースト。クロワッサンとトースト、チーズ、フレッシュジュースとカプチーノ。今日は、オランダはまだ祝日なのかものすごく人が多い。King’s Dayからずっと連休が続いているような印象だ。上に住む大家さんたちは1週間ほどノルマンディーに旅行に行くと言っていた。先月は10日ほどオーストリアにスキーに行っていた。 昼前に家を出て、デン・ハーグの隣町ライデンに向かう。電車に乗ってしまえば、20分もしないうちに到着する。今日は、ステラも一緒に行く。割と多くの人にライデンはオランダらしい街だとおすすめされていて、「オランダらしい?」と思っていたが、確かにオランダらしいというのが似合う街並みだった。運河があり、風車があり、太陽の日差しを待ちわびた人々はテラスや運河沿いの草むらで燦々降り注ぐ光を浴びている。それをオランダらしいと思うかどうかは、人それぞれだろうが、ぼくは、街並み以上に人々の行動や人々のその姿にオランダらしさを見た気がする。例に漏れず、ぼくたちも運河沿いの草むらで出せるだけ肌を出そうとするような人々と運河を前に寝転がる。 不思議なまでになり続ける教会の鐘の音と、太陽の日差しを充分に浴びて、賑やかなお店通りを抜けた道の角にあるオーガニックのフリチュールのお店で聖子ちゃんはビールを飲み、ぼくはレモネードを飲みながらチップスを食べた。座った前に人通りがあり、真っ直ぐに風景が抜けた道もあるので、テラスに座って人を鑑賞するには最高のロケーションだ。ぼくは、カフェに座って人々や街を監査することを人生の喜びにしているのだが、まさにその趣味にうってこいの風景だった。オランダに来てからハンドカットのチップスになかなか出会うことがなかったのだが、ついに、もさっとしたポテトのテクスチャと香りを感じるチップスに出会った。全てオーガニックのポテトで、機械ではなくジューサーのように上から手で押すと切ることができる機械でポテトを切っている。それもソースも10種類ほど全て自家製。オーガニックのポテトは、他のレストランなどで使われる葉物やその他の野菜と違い、育てる人が少ないそうだ。それは、芋が安い食材であるが故だそうで、オーガニックファームも時に「根菜を育てるオーガニックファームは尊敬に値する」というほどだ。オーガニック食材は、一般消費よりもレストランでの消費が多いのだろう。それは、フィルムが写真業界よりも映画業界が支えているということと同じような感じだろうか。とにかくオーガニックのポテトを作る人が少ないそうだが、それでもこの店が態度を持ってオーガニックのフリチュールのお店をするということは社会への具体的な態度でカッコいいなと思った。このお店がデン・ハーグにあればいいのにと思うようなお店だ。夜は、ケーキを食べて、大江健三郎『「自分の木」の下で』読み始める。23時半ごろ就寝。