2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2024.4.30

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2024.4.30

天気がいいが、家で作業をする。少し昼寝をする。 日本から送ってもらったフックが届いたので、早速壁に貼り付ける。日本のプロダクトは面白くてよく考えられていてとても便利だなと思う。それは、デザイナーのプロダクトだけではなく、特に100均とか文房具とか、アノニマスなプロダクトがそうだ。例えば、今日届いたフックはダイソーのものだが、日本でも愛用していた。壁に穴を開けなくてもいい特殊な接着剤でフックを壁にくっつける。そして、ドライヤーで温めると跡形もなくきれいに剥がれる。田園調布に住んでいるときに、大家さんがアーティストだったこともあり、額装作品などへの理解があり、壁に穴を開けてもいいよと言われていたのが、壁の薄いところに穴をあける気になれず、このフックを使ってみたのだ。とても便利でそれ以来愛用している。壁に穴を開けられないから、壁に傷がつかないプロダクトを開発する。きっとこの問題の簡単な解決法は、「壁に穴を開けてもいいですよ」と大家が一言言えば済む話なのだが、日本ではなかなかそうはいかない。人口が多いと常識の幅も広いのだ。同時にそんなことするか、という驚きもある。人口が多いので、奇妙なことをしてもその奇妙をし続けることができるだけの奇妙な受け皿も存在する。ヨーロッパにいると、何かものを作るとかこっそりやるとか無茶するとかではなく、人とのコミュニケーションで色々なものを解決しているように思う。その点、プロダクトは生まれにくい。良いプロダクトは大体不便さが生み出すものなのだ。オランダ含め、ヨーロッパの北側のプロダクトが成長するのも天候や自給力のなさなどそういう理由だろう。少しくらい自分を守るためにも言っておきたいが、ぼくは決して100均のファンではない。100均には、なぜそれを作る必要があったのかと問いたくなるようなプロダクトもとても多い。しかし、ぼくはこのフックのように100均にしかないものというものが存在していることに非常に興味がある。 夕方、日本から遊びに来ている晶子さん、和子さん、まさひろさん、リリ世ちゃんと会う。いくつか日本から届けてもらった本などを受け取る。お土産も頂いた。11月に送別会をしてもらってそれ以来に再会したが何か変化を感じるような違和感もなく、相変わらずとてもお元気そうだった。ぼくと聖子ちゃんが普段から人と話をしなさすぎて声が出ていなかったようにも思うが。アムステルダムからパリへ行くのだそうだ。最高の天気を運んできたようで、きっとこんな天気の中の家族旅行は楽しいだろうなと少し羨ましく思った。家にでもご招待するべきだったと思ったが、コップも4つしかないし、ソファもない家に招待したところで招待される側は招かれた気にもならないだろう。人を呼ぶためにもソファの一つくらいないといけないなと思った。 聖子ちゃん35歳最後の日。