2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2024.3.3

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2024.3.3

デン・ハーグからデルフトを抜け自転車でIKEAへ。3月の晴れた日曜日の昼下がりに、デルフトのカナル沿いをThe Radio Dept『Clinging to a Scheme』を聴きながら自転車を漕いだことがあるだろうか?ぼくたちは、まだ新しい風景を見ることができるのだと心強い気持ちになった。
数日前に聖子ちゃんが自転車の盗難にあったように、オランダでは、自転車の盗難が一日300件も起きていると言われており、国家規模で問題になっている。その結果、国が推奨しているのが、レンタルサイクルである。月額定額支払いで、メンテナンスも不要。何より盗難の心配がないということが合理的だということなのだろう。同時に、同じ見た目の自転車ばかりが街に溢れていく。今日、IKEAで見た光景には驚いた。駐輪場に停車している自転車の1/3くらいがレンタサイクルで、その色も黄と青なので、IKEAのロゴや建物に使われる色と相まって、世界が均一化しているように感じた。均一した社会を打破するように、そこから新進的な個人が生まれ、自由を生み出した。その結果、世界にはユニークさが生まれたが、同時に多くの問題も生み出した。その後やってきた企業が力を持つ時代には、合理性が謳われ、また均一した社会に向かっているように思えてならない。ぼくは、世界が均一化するその社会の中では生きることができないと強く思う。また均一化に対抗するように、そして閉塞感をもつ社会を打破する新進的な個人が生まれないといけないのだ。
IKEAで家で作ったクッキーを保管するためのビンと、扉に引っ掛けてコートなどをかけられるフックと瓶詰めのヘリングを買った。たったそれだけだが、お金を落とすことが、社会の均一化に加担するような気何して、背徳感を感じながら、中古の自転車を40分漕いで帰った。