2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2023.12.13

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2023.12.13

Huis MarseilleでEddo HartmannとTarrah Krajnakの展示を鑑賞。Eddo Hartmannは、真実をカメラで写し撮ろうとする作家で、Tarrah Krajnakは、写真を言語として表現する作家で、ちょうどDavid Company『On Photography』を読んでいるので、この二人の作家を比較しながら鑑賞するのは楽しかった。どちらが良いという話ではないし、自分がどちらが好きかという話でしかないのだろうが、ぼくは、英語で言うならArtist working in photographyという表現が自分にはあっていると思っているので、Tarrah Krajnakの作品は、共感する部分もかなり多く感じた。
Huis Marseilleライブラリーで、本を探していると、スタッフがいいニットだねと声をかけてくれたので、話し込む。彼の名前はGilles。ぼくたちが出版社をやっているというと本が見たいとのことなので、カバンからTo Find The Right ChairとTime in Air, Time in Paperを見せる。彼の反応を見る限り感触はものすごく良く、特にTo Find The Right Chairを気に入っていると言ってくれた。ページの捲り方が、ペラペラめくりではなく、表紙から一ページごとに丁寧に見るタイプの方でこれはきっとぼくたちの本を気に入ってくれるに違いないと思った。彼はストーリテリングが好きだということ、パーソナリティがわかるものが好きだということだった。こうやって人に見てもらって、すごく良いレスポンスをもらうと自分が作品を作る意味とか継続する価値とかを再確認することができる。特に、東京にいたときは、写真を撮りたくないと思ってしまう事も多かったのだが、それは人が意見を持たないように感じてしまうシーンに度々遭遇していたからであって、それらはぼくの自信を失う要因になっていた。またオンラインで繰り広げられるビジュアルメイキングの数々ももまたぼくの自信を薙ぎ倒すこともあった。しかし、ヨーロッパに来てから、展示を見て書店を回っていると自分と同じようなものを嗜好する人が多いと感じるし、幅を感じられるのだ。今日のGillesとの出会いもそうだが、自分の意思を持って作品を見れる人間でありたいと強く思うのだ。
何かで読んだ誰かの言葉からぼく自身が最近強く感じているのは、自分の感性と仕事に対して誠実さを持つこと。また、より自分自身であることを大切にするべきである。
夜、早速Gillesから連絡があり、メールには5冊ずつ欲しいと書かれていた。