聖子ちゃんがアントワープを案内してくれる。2019から2020年の間、彼女が住んでいた街に訪れて、ぼくはとても奇妙な気分である。彼女は色々な物事を懐かしいんでいるようだった。そうそう、これがアントワープなんだと言いながら。これは前はなかったとか、これは前もあったとか自分の地図と現実をすり合わせして馴染ませるかのように。ぼくからするとただただ全く来たことのない街で、地図を見ずにふらふらと歩けるのはとても楽である。
ぼくたちのように長く色々な土地で一緒に生活をしていると、「あの時のアレだ」とか例えばメルボルンのマーケットの香りとか、パリの冬の朝の感覚だね、この床と壁のバランスニュージーランドっぽいよね、とかよく思い出すように話しているのだが、彼女が多大な影響を受けたアントワープの生活をぼくは知らない、本当に知らなかった。いつだってアントワープの話をするのだが、それでもぼくは想像するばっかりで本当にどんな感覚なのかをわかった気にしかなれなかったのである。この数日で少しくらいは彼女が言い続けているそして彼女が好いているアントワープの香りのようなものを少しくらい自分の身体にも馴染ませたいと思っている。
ぼくたちのように長く色々な土地で一緒に生活をしていると、「あの時のアレだ」とか例えばメルボルンのマーケットの香りとか、パリの冬の朝の感覚だね、この床と壁のバランスニュージーランドっぽいよね、とかよく思い出すように話しているのだが、彼女が多大な影響を受けたアントワープの生活をぼくは知らない、本当に知らなかった。いつだってアントワープの話をするのだが、それでもぼくは想像するばっかりで本当にどんな感覚なのかをわかった気にしかなれなかったのである。この数日で少しくらいは彼女が言い続けているそして彼女が好いているアントワープの香りのようなものを少しくらい自分の身体にも馴染ませたいと思っている。
cronopiO Bookstoreの隣にあるLe Johnでディナー。聖子ちゃんもいつか来たかったのだそうだ。すごく雰囲気がいいお店だったが、窓際の席で隙間からの風がとても寒かった。家に帰り、湯船に浸かり、就寝。気持ちよく寝ようとしていたところで、変な爆発音と水が流れる音が聞こえた。まあ、うちは関係ないだろう、雨だから何か溢れたのかなと思い、そのまま寝ようとしたのだが、少しした頃に1Fで寝ていたステラが寝室のある3階まで駆け上がってきて、扉をあけた。なんとなく嫌な予感がして1階へ行くと水浸しになっていて、天井から水が流れてきていた。多分水道管が破裂し、雨漏りしたのである。2階のプリンタは水まみれになり、夜中3時くらいまでとにかく大掃除をする。悲惨なことが起きてしまった。ぼくたちのせいじゃないということを祈る。修繕費なんて建て替えられない。