2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2023.9.16

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2023.9.16

自転車がパンクしていたので近くにあった自転車屋で修理してもらう。そのお店の名前は、「サイクルショップ ひろしの店」という名前の自転車屋で、ちょっと不安をそそるような昭和の香りのするお店の名前だったので、恐る恐る入ってみた。お店に入ると、ぶっきらぼうそうな薄くなった長めの髪を後ろにかき上げた、なんとなく元トレンディ俳優といった雰囲気のヒロシさんだろう男性が奥に座っていた。「パンクしてしまったのですが、修理できますか?」というと、「自転車中に持って入って」と一言。ささっと、自転車のタイヤを外した後に、きっちりが性分のデザイナーのように、もしくは老舗の大将が仕事をする前にきちんと整えるように、自転車を真っ直ぐに立てる。この素人には一見なんてことない自転車をきちんと立てるということへのヒロシさんのこだわりがぼくに彼への少し信頼感を覚えさせた。「少し待ってください」とかそんな言葉もなく、淡々とタイヤの中からゴムチューブを外し、穴を見つけて削ったり補修したりしてくれた。もちろん、その間は、よく言われそうな「あーこれは穴空いてますね」とか「かなり使い古されてますね」とか、そんな合いの手のような言葉はない。時間がかかりそうなので、店内をキョロキョロと見ていると、SHIMANOの高級なギアが揃っていたり、自転車につけるGPSのようなものがあったり、とにかくなんでも揃う本格的なサイクリングショップである。疑いを持って来店したことにどんどんと恥ずかしさを感じるほどのセレクトである。ほんの10分くらいで、パッと自転車を直し「はい、1,100円」と言われたので、ぽかんとしてしまい、ついでにiPhoneを自転車に取り付けるホルダーも買った。気分がいいので、そのままその自転車に乗り、Mont-bellへ行きでカメラカバーを買う。家に帰って一服してロケハンを兼ねて、ならまちへ撮影に行く。奈良ではいい写真が撮れそうである。少なくとも撮りたいなと心が躍るシーンによく出会う。