2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2022.6.14

Translate

2022.6.14

夜は、家でサッカー日本代表vsチュニジア代表を観戦。
勝つ試合だろうと楽観視していただけに非常に残念な結果。ヨーロッパのネーションズリーグを見ていると、シーズンが終わったばかりで、新しい選手を試しながらチーム作りしているように見えるのに、どのチームも完成度が高く、自分たちがどんな風に試合をするべきなのか知っているチームが非常に多く感じるが。残念ながら今の日本代表はそんな風には見えない。
きっと意思統一はあるのだろうが、思考が深くないというか決め事が少ない気がする。選手の即興性やフリースタイルを重視しすぎるせいか、点でバラバラである。もっと個の力を上げるしかない!と、数年前に言ってたけれど、その頃から(それ以前から)もう強豪国は、ナショナルチームのクラブチーム化が進んでいるのだ。解説陣も、速いとか、デカイとかそういう話からもっともっと踏み込んで、個人選手レベルでは、ポディショニングが良いとか、ボールの置き方とか、受ける姿勢とかそういう話をするべきだろうし、チームレベルでは相性と、バランス、空間の作り方が良いとか、リズムの作り方とか、プレーの仕方でグラウンドを狭くしたり広くしたりする方法とか、そういう話が出てこないと鑑賞者のIQが上がらない。鑑賞者のレベルが上がらないとチームは強くならない。
試合を観ていると森保監督が本当にしたいサッカーがこれなのかなと疑問を持たざるを得ない。よくインタビューなどで聞く「選手の自主性に任せる」とか、そういう次元じゃない気がする。長友がヴィニシウスにこの力で勝ったとか、遠藤はブンデスでデュエル率が1位だとか、伊東の足が速いとか、そういう話はもうおなかいっぱいだし、だからなんだ、結局試合には負けるし、サッカーも盛り上がっていないのが事実だ。
今日の試合だけを観ていると、南野が左での鎌田との共存は難しそうだなと思うし、遠藤と組み合わせるのは田中・守田がファーストチョイスだろう。田中・守田・遠藤その三人はみんなどのポディションでも仕事ができる選手で、遠藤だけではなく、守田・田中のようにサイドに引いてボールを引き出せて、サイドバックに高い位置を取らせるような仕事が出来る選手が必要に感じる。特に南野を左で使うのであれば、その守田なり田中が左サイドバックに高い位置を取らせて後方からのビルドアップに参加するのは極めて重要に見えた。それを原口や鎌田がしていたかというと全くしていない。久保もできないだろう。じゃあ、原口や鎌田や久保がウィングの裏へ飛び出すようなことをしていたかというとそうでもない。チュニジアみたくCBにプレッシングをかけてこないチームだと、遠藤のところにスペースが出来るわけでもないので、これだけ狙われている遠藤に当てる必要があったのかは疑問でしかない。それは、このフォーメーションに慣れているCBがどれだけいるか、慣れてなくともIQが高いCBがどれだけいるかによる。もちろん、理論とプレーするということには大きな隔たりがあるので、理論だけがまかり通るわけではないが、これだけうまい選手が増えた中で、理論に行き着くのは容易に想像できる話である。例えば、今日のCB、吉田と板倉だったが二人とも何本の鋭いパスを鎌田なり、南野、ないしは浅野に当てられたか。おそらく今日のような展開であれば谷口のような鋭くパスを当てられる選手が適任だろう。CBまでプレッシングも来ない展開で、余裕を持って後方からビルドアップできる相手に対人に長けた吉田がいる必要は?でもある。どちらかというと吉田は長い球を蹴る選手なのだから、それなら狭いところでのプレーを得意とする南野ではなくグラウンドを広く使える三笘ではないか。とか。
チームとしての芸のなさというか,ひとりひとりのサッカー観みたいなのがズレているような試合に見える。特に、個人的には、森保監督のサッカー観と若い選手たちのサッカー観がかなり開きがあるように感じた。ここ数年でサッカーの戦術面は数段に上がったように感じるし、それはいい選手がお金できちんと集められて、選手のクオリティが上がった、層が厚くなった事で、チームとしてできることの幅が増えたのだろう。どの選手が出ても基本とするサッカーは変わらずに進められる。
実際、日本代表だってそうだ。各ポディションに絶対的な選手がいない。きっと遠藤だって、同じポディションに守田や板倉を試してみると意外と絶対的ではないかもしれない。ファーストチョイスであることは間違い無いだろうが。
連戦だったので、もっとチームとしての質を見たかったなというのがぼく個人的な感想である。いいなと思ったのは、ガーナ戦の久保→堂安→山根のゴール。あんな風なリズム感と攻め上がるタイミングと意思疎通がある攻撃がもう少し見たかった。伊東のスピードを生かすために、誰右サイドの攻撃に組み込め違いを作れるか、三笘サイドの動きはどうか、ある種、攻撃のキーになっているものはあるので、それをデベロップさせるようなものが見たかった。ショートカウンターを誰とどうやったらうまく機能するのか、とかそういうのはきっとドイツ戦では役に立ったのではと思うのだけれど。なんだか、まだ選手の関係性ではなく、個人の適性を図っているようにしか見えなかった。「選手の自主性と対応力」と言い続けるのは、監督の怠惰では?と少し思ってしまう部分もある。あまり監督に対して解任とか思ったことはないけれど、個人的にこの試合を見ると、森保監督は彼のチーム作りをしてきたのか?と疑問に感じる。選手を鼓舞するのは上手いし、きっとモチベーターでもある。だからこんなに大きなグループで活動できてきて代表選手が増えたと思う。ただ、そうなった時にとても大事なのは戦術なんじゃないだろうか。とくに中3日での試合で、同じ選手で戦えるわけがない。東京オリンピックのスペイン戦の遠藤や吉田の出来を覚えているだろうか。遠藤のような選手でも結局あんな風になってしまうのだから、ベスト8に入るということは、4試合勝たなければいけない。グループステージは、ドイツ、スペインが取りこぼしたとして1勝2分けが最低条件だろうし、ドイツが取りこぼすことがないとなると、スペインどこかで取りこぼして最終節に勝ちに来ることは見える。そうなったときに、選手をどう休ませるのか。南野や長友のフル出場した試合が最近なかったがそればかりの選手起用でよかったのか。南野と三笘の先発同時起用を試すべきだったのでは?伊東なしで、堂安、久保、山根は一つの組み合わせかもしれない。左で、後半から前田起用とか、とか、とにかくチーム戦術と個人の使われ方の両方が両方とも試されていなかったように見えた。酒井の復帰がSBの強化なのか、冨安のSB起用とか。
チームプレーなので、選手のムラとかキャラとかそういうことが重視されることはとても大切だけれど、ファンが見たいのは勝利なのである。こういう時は、選手の気持ちになりたいが、そうはいかない。本当に人気がないのって、知名度とか、キャラとか、そういうものではなく、勝ち負け含めやっているサッカー自体がつまんないからなのだと思う。
なんとなく最後に書きたくなったので、この試合を終えてのぼくの23名を書いてみよう。こんなことするのは、高校生以来だけれど、なんとなく期待も込めて。
GW 権田、シュミット、川島
DF 山根、酒井、谷口、板倉、吉田、冨安、長友、伊藤
MF 遠藤、守田、田中、鎌田、原口、久保、堂安
FW 南野、伊東、前田、古橋、三笘
前提として、相手がわかっている予選をまず勝ち抜くことに力を注ぐべきである。強い相手に対してカウンターで攻めるために堂安保持、久保の持ち上がり、酒井のロングランによる崩しがどこまで機能するか(スペイン戦)、相手がチュニジアのように中を固めて、こちらが押し込んだ展開の時に、サイドからの崩しのところで相手の裏へ潜り込め、細かいところをいける山根の存在(コスタリカ戦)は右サイドの肝になるように思える。初戦ドイツ戦は、0-0で終わらせたいと個人的には思うので、右は、伊東と酒井だろう。久保は、所属チームでの役回りもそれに近いものがあるので、きっとうまくこなせると思う。
今回の大会で、遠藤、守田、鎌田(左に三笘)や、遠藤、守田、久保(右に堂安、SBに山根、左に三笘)が機能するのかは正直試したかったのではと思ってしまう。
久保、堂安をセットで考えるのであれば、上田を外さざるを得ないという苦渋の決断。あとは、古橋の活かし方がまだ見つかっていないのが正直なところ。ショートカウンター要員であることは間違いないし、得意としていることの一つだし、シュートのバリエーションを見ても充分に機能すると思える。ただ、出し手がいないのが現状。こうやってメンバー選考をしたときに、南野のゼロトップも個人的には試して欲しかったことの一つである。南野もカウンター上手いと個人的には思っている。
まあ、ないだろうな、このメンバー。きっと、久保、堂安、鎌田の誰かはこのままだと外れるし、古橋より浅野だろう。
経験者枠として、川島、酒井、吉田、長友、(遠藤)、原口だろう。遠藤は試合に出てないので( )とする。権田もメンバー入りはしているはず。大きな大会は経験が生きる場所ではあると思うので、彼らの実体験こそが力になるのは見えているし、あのベルギー戦を忘れない方がいい。あの続きなのだから。あと、大会が始まったら勝ち進むには必ず稲本や本田、乾のようなヒーローが必要なのである、それをぼくは古橋に託したい。彼はゴールが似合うし、セルティックでの振る舞いを見ていると大舞台が似合う。
それから若いからと入れる必要はない、結果どうだ。前回、若くして選ばれて、また選ばれようとしている選手が何人いるだろうか。前回大会で言うと、植田だって、大島、昌子だって今や伸び悩んでいる。武藤もそうだ。ベンチには、百戦錬磨の選手にしよう。