2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2021.5.7

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2021.5.7

ピエール・マッコルラン「写真幻想」読み進める。写真が最も文学に近い芸術だという見解を持ち語る彼の写真論は、ぼくの作品の強度を高めてくれる言葉で溢れている。
特に「To Find The Right Chair」で使ったイメージは、抽象的なものが多く、他者の介入なしには完成しない作品なのである。想像力の入り込む余地を与え、一人一人が語りを持つことを望んでいる。記憶の中にこびりついた、もしくは老舗カフェの家具のようなそれらに再び光を当てるような作業。そのもの自体からありがたみや重要性を日々の中で感じないものを再認識させるような作業なのである。
「写真作品は、10代の頃に聞き、一生ついて離れない歌謡曲のような、奇妙な感覚を持ち合わせている。」
「ピント合わせの失敗が手の感触を必要とする。指の接触を受けたものは、目の接触を保つことができない。」
「かなり特殊な憂鬱が作品全体を覆っている。」
ぼくは、言葉を語ることを失いかけていたが、心の底に消えずに残っていた種火のようなものに今一度薪を放り込むような気分になっている。多くの人から言葉を待ち望んでいるという連絡が来ていたのだが、それでもぼくからは何も溢れ出る言葉がなかった。
語る言葉がなかったのではなく、語ることが出来なかったのだ。そしてぼくは言葉を紡ぐことができなかった。