昼過ぎからビーチへ行く。オランダのビーチで面白いなと思うのは、服を着たら情けなくなることである。それは安い貧相な服があふれかえっているからであり、みんな身体を鍛えて、姿勢もいいからであり、水着姿だと好青年のように見えるのだが、洋服を着るといきなりなんとも貧相な姿に変わる。ぼくは洋服の力を信じていると同時に、裸一貫でも気になる存在であれ、というのを心の底でモットーのように小さく掲げているので、洋服の力によって人間の力が弱まるというのは情けないと思う。
今日から1週間くらいは暑い日が続きそうである。ある日は30度まで上がるようで、やっとオランダにも夏が訪れたような気もする。
これもふと思うことの一つであるが、オランダに来てから長い夏休みのような感覚が拭えない時がある。少し前までは、自分は生きている実感がないとを時々思っていたが、今ではそんな感覚さえもなくなってしまった。全く自分自身の身体を持って時間を捉えられていないような気もするし、全てが仮の姿をしていて、時間さえもがそれをただただ通り過ぎていく。ぼくは何を掴んで今という時間と同じスピードで進んでいるのだろうか。
何か執着のようなものや憧れなど、そんなものが少しずつ失われ始めている。そして、今ぼくは仮の姿をしたまま仮の場所に仮のものと一緒に過ごしているのではないだろうか。