朝、幸子さんにアンジェを案内してもらい、自転車で散策。8時に起きるつもりが何時になったのか覚えていないが、とにかく昨日の疲れからかのんびりとしていたし、湯船があることに甘えるかのように朝から湯船に浸かった。当たり前のものがただ当たり前に存在するということをぼくは聖子ちゃんと常々話しているのだが、アンジェでは当たり前のものがただただ当たり前として繰り返されるように存在している気がした。何か見せびらかすような、客に媚びるような、観光客を引き摺り込むようなものではなく、違和感も感動も悲観することもなく、ただその街に存在している。森に一本の木が生えているように、街には誠実なパン屋があり、コーヒー店があり、オーガニックショップがあった。安いからあまり美味しくないとか高いから煌びやかだとか、そういうのとは無縁の、その街のみんなが求めるような美味しいパン屋がほとんど安いと言っても失礼のないような価格で存在するし、コーヒー店も一見どこの都市でも変わらず存在するような美味しいコーヒーが飲めるお店かと思いきや、 そこで飲んだカプチーノは、カフェ・オ・レ ボウルを踏襲したカプチーノだったし、「このコーヒーは街の歴史を知っている人が2020年代にしか作りえないものだ」と思って、ちょっと感動した。彼らは感動させるために作っているわけではないが、それでも違う土地からきたぼくには感動に値するようなコーヒーだった。コーヒーを飲んでそんな風に、その土地と歴史に思いを馳せたのはいつぶりだろうか。アンジェからパリに戻り、モンパルナスとGrand Palaisの間で、Chieskaさんとコーヒー。その後、Zander GalleryでRobert AdamsのStill Livesの写真を初めて生で見た。ぼくはRobert Adamsの写真の持つビジュアル以上に彼自身のアティテュードを敬愛しているが、このシリーズが一番好きだったので、とても嬉しい。Paris PHOTOのYumiko Chibaブースで作品を展示しているケンくんとサクッとカフェへ行く。暗くなってからOff printに行ったが、自分の入る隙のない催しだった。夜は、ヴェルビルのLao Siamへ。ルナさんと食事を約束していたが、スケジュールの間違いでご一緒できず。