2025.8.27

 剽軽なメガネをかけた女性が、怒り狂ったかのように言い合いをしていた。その怒号によって、辺りにいるぼくたちにも緊張感が伝わってくるのだが、それでも彼女の姿を見ていると、全く怒っているようには感じられなかった。
その剽軽なメガネはぼくの心の平静を保ってくれているような気がした。何かという話ではなく、ものというものから人々は感情を受け取り、勝手に解釈をする。剽軽なメガネをかけて争いに向かう人はいないだろうから、そう考えると剽軽なメガネをかけている人は世界に平和を振り撒いているというユーモラスな側面もある。しかし、ぼくはその女性のイキったように聞こえるアメリカンアクセントがとても苦手で、相手の肩を持ちたくなっていた。