2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2025.7.28

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2025.7.28

 村上春樹は日本の文壇では、日本の文学上では評価されないが、日本人のぼくに海外で生きる上で大きな手助けをしてくれる。
先日、Bowieのテラスで村上春樹『騎士団長殺し』を読んでいる男性がいた。ぼくは、ステラの散歩中だったので、立ち話が盛り上がり電話番号を交換した。村上春樹氏に助けられた形でぼくは家の近くで友達を得たのである。
メルボルンでも、Comme des Garconsのセットアップを着ていて、声をかけられた。彼とは直接友達にはならなかったが、彼が紹介してくれたお店に行き、そこで話したのがOliviaだった。彼女がたくさんの友人を紹介してくれた。
村上春樹氏しかり、Comme des Garconsの川久保玲社長然り、日本の建築家や写真家、時に鈴木大拙や福岡正信だったりもあるが、日本人が世界に出ようとする際に、現在世界でグローバルに活動する日本のために先人たちが足場となってくれていることは間違いないのである。
そんなことを考えると、日本国内の文学としての価値と世界における日本の印象を形成する価値は区別して語られるべきではないか。文学は文学として見られる側面があるだろう、しかし、同時に異文化を知ることは平和を知ることにもなる、とぼくは思っているので、村上春樹氏しかり、川久保玲社長しかり彼ら彼女らの行動は平和をもたらしているとも言えるのではないか。決して大袈裟な話ではないとぼくは思っている。もちろん、その他無数の名もなき日本人の草の根運動のような小さな生活や行動がそれらを強く広げていることも忘れられてはならない。