2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2024.8.9

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2024.8.9

家で作業をし、天気もいいので、昨日留守番を頑張ってくれたのでご褒美を兼ねて夕方ステラとLosloopveld Ockenburgドッグパークへ。Losloopveld Ockenburgドックパークはサッカーグラウンド3面分くらい広大なグリーンフィールドで、芝生もきちんと手入れされ、柵でぐると囲まれている。聖子ちゃんが散歩中にステラ同様に走るのが好きなハンター犬を飼っている女性から教えてもらった。ドックパーク内で、少しiPhoneで仕事のメッセージを返事していたら、遠くの方を見るとステラが塀に手をかけていた。急いで呼び戻そうとするが、何かターゲットを見つけた時のステラは手のつけようがなく、あたりには小型犬を飼っている老人以外には誰もおらず、急いでステラに向かって走り出すもすでに遅く、ステラが勢いを持って塀を飛び越えてしまった。ぼくもステラ同様に片足飛びで塀を飛び越えた。ステラがこちらに猛烈に走ってきたので、道を遮ろうとするが、猛進するステラを止められるわけもなく、ぼくが遮ろうとする手の間をぬけ、森の中に走り去ってしまった。ぼくも新調したてのBirkenstockのサンダルで追いかけるが、レザーの硬さも足なじみも悪いサンダルではちゃんと走れるわけもなく、すぐに見失ってしまった。「ステラ!」と叫びながら、時々耳をすまして草が揺れる音に耳を研ぎ澄まし、森を歩き続ける。どのくらいだったのだろうか、目標もなく走り続けるには似合わないサンダルのせいで息が切れることもなく、妙に冷静さを取り戻してしまった。10分くらいだろうか、そろそろこれはまずいと心細くなってきた頃に遠くから犬同士の鳴き声が聞こえてきたので、ステラの鳴き声かと耳を澄ましていると、森の中の真っ直ぐに抜けたハイキング道を向こうから飄々とした姿で走ってぼくのところにやってきた。違う犬たちの鳴き声はぼくの足を止めた、彼らはきっと「そこにいたらステラは戻ってくるよ」と教えてくれていたのかもしれない。その時は、ステラはぼくを揶揄うように走り去るわけでもなく、嬉しそうな表情を見せながら飄々とした走りをみせぼくの足元へやってきて、口を大きく広げて息切れしながら顔を覗き込んでいた。なぜ脱走して森へ走り去ったのだろうか、昨日の留守番が嫌だったのだろうか、ドックパークでiPhoneを触っていたり、腰掛けたりしているのが嫌だったのだろうか。愛を感じられない日々に自暴自棄になってしまったのだろうか。もっと遊んでほしいという合図だろうか。家でもiphoneやパソコンを触るとすぐに邪魔をしてくるので、一つはっきりと言えることは、ステラは電子機器が嫌いなのだろう。もしくは歪み出したぼくたちの身体への危険信号を送ってくれているのかもしれない。
ステラは森で迷子になってぼくたちが保護した。もう、ほっていかれることに対して不安を抱えているのだろうか、探してくれるかどうかを試したくなったのだろうか。もしくは、その空間から自由に飛び立ち、走り去りたかったのだろうか。そんなステラを見ていると、パニック障害になって脱走した自分を見ているようだった。必死だったが、ビーチまで夕陽を見に行く。今日も素晴らしくエモーショナルな夕暮れだった。1945年の長崎のことを想った。