2100年の生活学 by JUN IWASAKI : 2021.8.18

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2021.8.18

 『日本人は何を捨ててきたのか:思想家・鶴見俊輔の肉声』を読み進める。
これを読んでいると、個人として生きることについて強く感じさせられる。
最近、政治的な関心が強くなったのかそういう本を読むようになり、その中で人間が最後の最後の決断でいかに個人として決断できるかが人生や社会を大きく変化させているということが共通して感じられる。
例えば、先日観たロマン・ポランスキー『戦場のピアニスト』でも、ドイツ軍のリーダーがユダヤ人で逃げ回っているピアニストである主人公の演奏を聴き、心に何か引っ掛かったのだろうか、パンとジャム、ソーセージなどを届け続けるシーンがある。
戦時中にもアメリカ兵が日本人をかくまったり酒を交わしたり、アウシュビッツでカポーが囚人を救ったりするわけで、そこには絶対的な人間個人の力が存在する。軍隊という厳しいチームの中で、そのルールを裏切るような行為(敵を助ける)をする。軍隊の一員である前に、一人の生身の人間に立ち返り、個人の意思決定を出来るのか、その小さな度胸が社会や現実を大きく変えているのだ。