ぼくは用賀に住んでいた頃スウェーデン人写真家Anders Edstromの一枚のポスターを壁に飾っていた。それは、A Song from the Laundry Roomの一つのシリーズにもなっているThe scene on the wallでも取り上げているポスターのことを指しているが、彼が雑誌の取材でコペンハーゲンのKlampenborgを訪れた際の写真である。両脇にArne Jacobsenの建築が並び、車が縦列駐車されている。その先には海が見える。なんてことのない風景である。その写真を眺める日々の中で、先の見えない街路というものの意味について考えるようになった。それから、どの街に行ってもひたすらに先が見えない街路を取り続けている。いい写真でもなければ、何か新しく描きなおすようなこともない、ただただ自分のフェティッシュのように無意識に撮ってしまっている。そんなものは誰にでも存在するだろうが、ぼくに撮ってのそれは、車が両脇に止まり、まっすぐに伸びる、そして先の見えない街路なのである。
角を曲がれば希望が待ち構えているということを切望すること、そこに自らの身体を置くこと、自らの意思で自分自身を運ぶこと、昨日のドア(扉)の話との共通点であろう。